あたしが少しでも大人っぽく見えればいいんだけど……。
どうひいき目で見ても、高校生だし。
あと一年は高校に通わなくちゃで、制服だって……。
っていうか。
高校を卒業したところで、ただ大学生になるってだけで……変わらないのかもしれない。
今通ってる高校は進学校だから、就職なんてほとんどできない。
結局、“学生”と“社会人”の距離は縮まらない。
椋ちゃんとの距離は――。
「そんなに心配?」
考え込んでたところに話しかけられて顔を上げると、椋ちゃんが、優しい目であたしを見ていた。
「……うん。だって、迷惑かけたくないし。
それに……不安が消えない。
椋ちゃんとの距離が縮まらない気がしちゃって。
なんか、まだ椋ちゃんが振り向いてくれたって実感が足りないのか、気持ちが焦っちゃって」