「それはそうだけど……でも、変な噂とか立っちゃうかもしれないし」
「そんな噂、立ったとしてもすぐに消えるよ」
「でも……」
「……でも、なに?」


なかなか納得しないあたしを不思議に思ってか、椋ちゃんが聞く。

じっと見つめられて、目を伏せながら気持ちを説明しようと言葉を探した。


「でも……もしも、変な噂とかが取引先に立ったりして、それで椋ちゃんの仕事がうまくいかなくなったりして……」
「うん」
「そういう事があったら……椋ちゃんは、あたしとの付き合いをやめたくなるんじゃないかなって思って……。
10才って年の差は、大人になったら普通かもしれないけど、今はやっぱり制服とスーツだし、目を引くし。
変な目で見られたりしてるうちに、椋ちゃんは嫌になっちゃうんじゃないかなって……」
「……そんな事考えてたのか」
「だから、あたしとの事、面倒だとか思われるような事は避けたいんだもん。
あたしは、ずっと椋ちゃんと一緒にいたいから……椋ちゃん……?」