「そんな事思ってないよ。
咲良が頑張ってることはよく分かってる」
「……ホントに?」
「この部屋で以外の咲良は、いつも俺との距離を気にしてたから。
買い物に行っても、近所の人の目を気にしてか、俺は車で待ってればいいって、いつもひとりで店に入ってたし」
「……気付いてたの?」
「社長に用事があって会社まで来ても、俺とは会おうともしなかったし、俺から声をかけても、必要以上に話そうとしなかった。
咲良が心から嬉しそうに笑うのは、この部屋だけだって事は、ずっと気付いてた。
付き合う前も、今も」


最後の言葉に少しビックリする。
なんだか、それが気になってるっていうような言い方だったから。

でも、椋ちゃんからすれば、そうした方が絶対に都合がいいハズなのに。


「付き合う前までならそれも分かるけど、今はそんなに気にする必要ないから」
「でも、恋人だって思われるような行動してそれを会社の人とかに見られたりしたら……」
「恋人だろ。俺と咲良は」