なんだかプロポーズみたいに思えて、脳内に花が咲いてそこを蝶々が飛び始めようとして……。
でもそれを、椋ちゃんの言葉が止めた。


「だけど、例え今すぐ俺が転勤になったとしても、咲良はちゃんと高校を卒業して、それ以降の進路は社長やおばさんと話し合って決めるように」
「えっ……パパと?!
っていうか、今の会話の流れはそんなんじゃなかったじゃん!」
「今は俺の正直な気持ちを話したまでで、現実には難しいだろ」
「正直な気持ちのまま、あたしを連れてってくれればいい話でしょ?」
「いくらなんでも、高校も卒業していない咲良を勝手に連れて行くほど常識外れじゃない。
それに、咲良はまだ未成年なんだから、両親と話し合うのは当たり前だろ。
卒業後の事なら、俺も社長と話すから」
「でも……っ」


椋ちゃんが言ってる事が正しいだけに何も言えずにいると、椋ちゃんがふっと微笑む。


「とりあえず、夕飯食べながらでもいいか?
部屋入ってきた時から、いい匂いがして気になってたんだけど」
「あ、もちろん! すぐ準備するから座って待ってて!」


元気よく言うと、椋ちゃんが笑った。