こんな幸せな朝ってあるんだ。
椋ちゃんは朝早く帰っちゃったけど、夜会う約束してくれたし。
ケータイにつけた合鍵が、ようやく意味を持って、ケータイを見る度にニヤニヤしてる。
そんな色ボケした頭を起こしたのは、朝食の席でのパパの言葉だった。
「そういえば、咲良。習い事をしたいって言ってただろ。
パパが話をつけたから、とりあえず料理教室にでも通ってみなさい」
「え、だって、習い事したいってやけになって言ったら、パパが今はやめなさいって言ったんじゃん」
「それはそうなんだが、でも、色々考え直したらな……」
「それに、こうして椋ちゃんとも無事両思いになれたんだから、そんな必要ないし。
習い事する時間があるなら、椋ちゃんと一緒にいたい」
「でも、葉山くんにも仕事があるんだから、放課後はある程度暇だろう?
だったらその時間を有意義に使ってみても……」
「だから、やらないってば」