「うん。……ちょっとだけ痛いけど平気。
痛いのも、椋ちゃんが触ってくれた証拠みたいで嬉しいし」
ふっと微笑んだ椋ちゃんが、あたしを自分の胸に抱き寄せる。
素肌が気持ちよくて、そのまま擦り寄ろうとしたけど……。
椋ちゃんの言葉がそれを止めた。
「咲良が寝てる間に、社長から電話があったよ」
一瞬、息が止まるかと思ったけど、呼吸困難になってる場合じゃない。
バって離れて、椋ちゃんと目を合わせる。
「パ、パパ、なんて?! っていうか、椋ちゃんのケータイにかかってきたの?!」
「俺のケータイに。
咲良のケータイにかけても全然繋がらないから、何か知らないかって」
「なんて答えたの?!」
「そのまま話した」
「えっ……」