「え……っ?」


あたしの唇からゆっくりと離れた椋ちゃんが、今度は舌で触れる。
それに驚いて一歩下がったけど、後ろにはクローゼットの扉があって。

逃げられずにいると、両肩をがしって掴まれて引き寄せられた。


「りょ、椋ちゃん……っ、なんで舐めてるの……?!」
「他の男の感触消そうかと思って。じっとしてろ」
「や、やだ! 変態っ! ……っ、ふ…」
「何回キスした?」


聞かれたって、唇舐められてるのに答えられるハズないし。
きゅって口を結んでると、それを割るように、椋ちゃんがあたしの顎を親指で引く。

どうしたんだろうって、ドキドキしながらも目を開けると……。

顔をかたむけた椋ちゃんが、舌を覗かせた唇であたしに触れるところだった。