思わず声をもらすと、椋ちゃんが優しく微笑む。
それがドキドキしっぱなしの心臓に悪すぎて、目を逸らした。


「伝わらないよ。……嫌われてると思ってたもん。
本当は嫌いだけど、社長の娘だからハッキリ言えないだけだって」
「なんで俺が咲良を嫌うんだよ。
小さい頃から可愛がってたし、俺の態度見てれば分かるだろ」
「……あたしにも分かりやすいような態度で示してよ」


くいって、椋ちゃんのシャツをつかみながら言う。

椋ちゃんは呆れて笑ってたけど……。
少しかがんで、あたしの希望に応えてくれた。


触れるだけなのに。
健康状態に異常をきたすんじゃないかってくらい、心臓がバックバク言ってる。


自分ではあんなに寝込みを襲おうとしてたくせに……今さら緊張とか、聞いて呆れる。