「咲良! それ重たいから俺が持つから」
「大丈夫! それより櫻井は障害物競争のハードル用意しといて!
時間押してるから、1レーン増やすって言ってたから、数間違えないようにね」
「任せとけ!」
グラウンドには歓声だとか笑い声が溢れてるけど。
裏方に回ってる実行委員の間では、業務連絡と指令ばかりが飛び交っていた。
「プログラムが足りなくなりそうだから、50部コピーしてきて!」
「はいっ」
体育祭は、予報どおりの天気に恵まれた。
空には眩しいほどの太陽。
涼しい風が穏やかに吹いていて、まさに体育祭日和。
そんなすがすがしい空の下で、異常なくらい汗だくになってるのは、体育祭実行委員くらいだと思う。
そして、それもこれも、全部は校長の気まぐれのせいだと思う。