今までの椋ちゃんの優しさは、“妹”として。
“社長の娘”として“親戚のやけになついてくる子”みたいな感じで。

そこに、好きだなんて感情は、なかったって事。

あたしが髪を巻いて大人ぶったって、そんなのただ背伸びしてるだけ。
椋ちゃんの目には、魅力的なんか映らない。


あたしが、何をしても。
どう頑張っても。


「……無理なんだよ。最初から」


椋ちゃんは、あたしをそんな風には見てないんだから。


分かってた事じゃん。

椋ちゃんの気持ちがあたしにない事なんて、ずっと分かってた。