泣いてなんとかなるなら、いくらでも泣いてやる。
すがって振り向いてくれるなら、どんなみっともなくてもしがみついてやる。
同情で付き合ってくれるなら、どんな可哀想な子だって演じる。
椋ちゃんが傍にいてくれるなら、他には何もいらない。
そういう覚悟で、ずっと椋ちゃんを追い回してきた。
けど……。
椋ちゃんは、あたしを好きになってくれない。
この先もずっと――。
「じゃあね、椋ちゃん」
目を合わせないまま、椋ちゃんの隣を走り抜けた。
椋ちゃんは、あたしを好きになってくれない。
音のない言葉が、静かにあたしの中に沈んでいく。
重く。重く……。