「――咲良。毎朝毎朝挑戦する行動力には感心する。
けど、やめろ」


こっそり部屋に忍び込んで、寝顔にキスしようと思ったのに。
タイミングよく起きた椋ちゃんの手に止められる。

大きな手に顔全部を覆われて、はぁってため息をついた。


「はぁー。今日もダメだった。
行動力を褒めてくれるなら、一回くらいキスさせてくれたっていいじゃん」
「バカ言うな」


あたしの顔から手をはいだ椋ちゃんは、少しだけ寝癖のついた髪にくしゃっと指を入れる。

その仕草がカッコよくて。

しゃがみ込んだままじっと見ていると、視線に気付いた椋ちゃんが笑った。