「どうしてくれようか…、クソッ、荒川庸一め。普通顔のくせに!」
 
 
あいつが普通顔なら俺はナニ顔だい? ケッ、これだから美形様は! 

ぶちのめしたくなる美形を見据えていると矢島がうーんっと唸った。

んでもって俺の顔を熟視。熟視。いつまでも熟視。


アウチ、居た堪れない。

美形が普通顔を見つめたってイケメンになれるわけじゃないんだぞ。

してくれたら俺的に万々歳だけど、そんな夢物語があるわけでもあるまいし。


てか、いつまで俺を見つめているんだいアータ。

居心地が悪いプラス、気味が悪いんだけど!

俺、ときめかないんだからな!

美形に見つめられて、「キャッ。うれぴ」とか一抹も思わないんだからな!


だって俺にはココロという癒しの彼女が以下省略。
 

ジトーッと見つめてくる矢島に、これもジトーッと視線を返して、「何か?」とおずおず声を掛ける。

片眉根を持ち上げる矢島は、

「パシの名前も売れているよな」

と意味深に呟いた。

あんよりも売れている気がするんだが、と唸られてしまい俺は目を点にする他ない。

それってどういう……、ま、まさか。

 
ヤーな予感がした俺は、「き。気分が」吐き気がしてきたと演じて毛布に潜水。
が、すぐそれをひっぺ剥がされた。


「パシ! 貴様、あんより名前が売れているとはどういうことだ! あんのパシリのくせに!」
 

きたよ、八つ当たりという名の逆恨み!

俺は何も悪くないじゃんかっ、売れちゃったのはヨウの功績のおかげだよ!

あいつがすべての元凶っ、圭太ワルクナーイ!

いつだって良い子ちゃんして…、た、筈だよな?


上辺良い子ちゃんは健在だよな?


そりゃ煙草は吸っちゃう悪い子ちゃんだけど、自ずから喧嘩を売る血の気の多い男でもないぞ。

っと、なんか美形不良が掴みかかってきた!