俺はまた一つ溜息をついて寝返りを打った。
四時限目の英語をサボって寝転がっているけど欠課扱いだよなぁ、これ。
授業の単位取れるかなぁ。マジ不安なんだけど。
ヨウは英語を受けてこっちに来てくれるって言ってたけど、んー、俺も受けりゃ良かったかな。
出席しているしていないだけで全然変わってくるし。
悶々悩んでいた俺は考えるのをやめて瞼を閉じる。
もういいや、今は寝よ。どうせあと少しで授業もおわ「パシじゃないか」
おーっと俺をパシと呼んでくる貴方様は。
俺は瞼を持ち上げて首を動かした。仕切られていた筈の桃色のカーテンが開かれ、向こうに立っていたのは…、うっはー、最強美形不良じゃあーりませんか!
なーんでアンタが此処にいるんだよっ、てか、カーテンを開けてくるんだよ!
心中で悲鳴を上げつつ、表向きの俺は愛想笑いを浮かべた。
「矢島さんじゃないですか。どうしたんです?」
相手に聞くと、保健の先生を探しているらしい。
そういえば俺が此処に来た時、職員室に向かっていたような。
先生に用事があるなら職員室に行くといいですよ、俺が相手にそう伝えると、職員室かと舌打ちを鳴らして俺の寝ているベッドに腰掛ける。
ちょ、なんで此処に座るんだよ。
向こう行ってくれ! 俺は寝たいの!
「あのー」
「酷い怪我だな。喧嘩か?」
話題を振ってくる矢島に俺は生返事を返す。今はその話題にあまり触れて欲しくないや。
俺の心情を知る由もない矢島は仲間の仇討ち戦は聞いていると吐息、
「また荒川の名前が広がった」
ぶすくれた顔を作って足を組む。
どーでもいいけど、なんで俺のベッドにいるの?
寝たいなら他のベッドに行けって。
ベッドは空いているだろ?
ゲンナリする俺を余所に、「何故」荒川はあんの邪魔ばかりするのだと眉根を寄せた。
「あんは知名度が欲しいのに、荒川がいつも邪魔をする。あんの美貌を嫉視しての行為だろうか?」
知るかいな!
それを俺に言ったってなっ、どーにもなんねぇよ!
ちなみに俺はアンタの美貌に嫉視しますが何か?
だぁああって凡人顔ですもの、俺!
嫉妬されても文句言えないぞ、その美形!
爆発しちまえぇええ!