ぎゅううっとしがみついて来る舎弟と彼女に俺はギブギブと声を上げた。
笑声を漏らす二人と悲鳴を上げる俺を見ていたヨウ達が揶揄してくる。
「なんだ、ケイ。お前の体に二匹もコアラがくっついてるぞ」
チームメートに笑われてしまう。
俺は苦笑いで返して、コアラ二匹にもう少し手加減してくれるよう頼み込んだ。
「愛情っスよ!」
「じゃあ私も」
おどけるコアラ達に勘弁してくれと俺は白旗を振った。
愛情が痛いんだって!
また仲間から笑われてしまうし、体は痛いし、コアラ達は腕の力を緩めてくれないし。
けど何気ない光景で俺の心は救われた気がした。
変に気遣わず、ただただ自然に接してくれる仲間達には感謝した。
俺も自然にノれることができたから。
「ケイの奴、チョー愛されてるじゃねえか。もう彼女と舎弟を泣かすんじゃねえぞ」
「またまたぁ。舎兄も随分泣いてたくせにー」
「わ、ワタル! 俺は泣いてねぇだろうが!」
「いーや泣いてたね。僕はしかとこの目で見た」
「ハジメ!」
「そして…、暴走…、成長ないな」
「うるせぇシズ。未遂だろうが!」
「オレは自分のしたことに泣きましたけど…、ウワァアア! 思い出しただけでもっ!」
「モト、そりゃ俺が悪かった。悪かったから」
仲間から揶揄されている舎兄の焦りっぷりに俺は笑顔を零す。
―――…今度こそ大丈夫。
俺はもっかい立ち上がれることができる。
ヨウ(アニキ)と交わした何があっても乗り越えられる、その言葉を見出せた。
そう確信できた気がしたんだ。
⇒№04