「けっ、ケイざんっ、づよいおどごでずがらっ、ぜっだいもどっでぐるっでっ。信じでまじだっ…、そ、そりゃ手腕ないでずじ、地味だじっ、どーてーでずげどぉおおお!」

「……、キヨタ。最後のチョイスはいらないんじゃね? いらないよな? な?」


そうですよ、俺は童貞ですよ。
まごうことなきチェリーボーイでやんす。

だけど彼女を腕に抱えているんだから、その台詞はシャラープ! なんか不謹慎っ! 居た堪れない!

どーして男って童貞って単語を出したがるんだい。

お盛りの年頃だからか?!
 

耳元でグズグズ鼻を啜っているキヨタに苦笑し、俺はココロに視線を落とす。

舎弟と同じようにグズグズ鼻を啜っている彼女は、すぐに手の甲で目を擦ってはにかんできた。

見上げてくる彼女は言ってきてくれる。


「本物が一番ですね」と。


それってメールの一件だよな。

ほんと思うよ。携帯なんかよりもリアルに人と会ったり、喋ったり、顔を見た方がいい。
 

こうして皆ともリアルにっ……、て、ちょ、ココロ、そんなに強く体を締め付けないでくれよ。

俺はまだ体がっ、アイデデデッ!


キヨタ!

お前もちょっと腕の力を弱めて、二人ともっ、嬉しい、嬉しいけど、ちょ、苦しい。


二人の腕力で俺のお腹と背中がくっつきそうだ!


俺はまだ病み上がりくんっ、ついでにアイデデ、怪我も完治してねぇから! お前等、グルだろ! 確信犯だろ!