横目でこっちを見てくるヨウは、「ま。とにかく」今はテメェが戻って来てくれたのがいっちゃん嬉しいとはにかんできた。

「なあんか舎弟がいないとしっくりこないんだよな」

調子が出ないとおどける兄貴に、微苦笑しているとアパートが見えてきた。

シズの部屋からは明かりが零れている。
窓からは何も見えないけど、皆、集まっているんだろうな。


さあて、これからチームの皆と感動なのかどうかは分からないけど久々の対面だ!

ヨウと階段を上がって扉に立つ。


「皆、喜ぶぜ」


笑うヨウがドアノブを回して扉を引いた。


刹那。



「ヨウゥウウウ! テメェエエ、うちとの話を差し置いて逃げ出すとはいい度胸だな! しかも電話を無視しやがったな!」



びゅんっと何かが飛んできた。

それがなんなのか把握する前に大きな物音、顔面に走る痛み、俺、転倒。後頭部強打。ああ、もう駄目。オワタ。俺オワタ。
 

「どうだヨウ。ちったぁ反省…、ゲッ、け、ケイィイイ?! ちょ、ヨウ、何してんだよアンタ!」

「な、何してるは響子だろうが! おぉお、おいケイ! しっかりしろ、ケイ!」
 

嗚呼、こりゃあ罰か。罰なのか。ヨウ達を避けていた罰なのか。

ド派手に転倒した俺は目を白黒させてバタンキュー。頭がピーチクパーチクしてらぁ。


はらほれひれはれ。

世界がぐーるぐる回ってる。


うへへっ、俺、かなりの重傷かも。

真上では悲鳴を上げているヨウと、慌てふためいている響子さんのお姿が。


「玄関で何をしているんですっ…、キャー! け、ケイさんっ! どうしたんですか!」
 
「なんの騒ぎっ、ギャァアア! ケイさんぅう?! 誰かにヤラれたんっスか?!」


向こうから聞こえて来るのは天使と、リトルブラザーの声。

あーあ、なんてこったい。とんでもねぇ対面だ。刺激的過ぎる。ほんっと刺激的過ぎて、もーだめ。