「それが響子達にばれて、ちょっちお小言を貰っていたわけだ。無茶し過ぎだって。そりゃ、かるーく無茶した気がすっけど…、こりゃ舎兄弟の問題だしな」


え、なに。

じゃあお前、ひとりで危ないことをして…、何してるんだよ!

お前、俺のメッセージ読み取ってくれたか?!
里見上総等から狙われている最重要人物なんだぞ!

なんでそんな馬鹿なことをしてるんだよっ。


絶句する俺に、「だって俺は舎兄だ」舎弟の危機に間に合わないなら、予防線を張っておく。


「名案だろ?」


意気揚々と笑う破天荒な馬鹿不良に、俺は呆れ笑い。

こりゃゆっくり休んでいる暇はなさそうだな。

あんま放置していると、もっと馬鹿しそう。


ほんっとこいつの真っ直ぐすぎる気持ちは胸に痛い。痛いや。


「ヨウ。俺さ、さっきも言ったけど……、あの時間に囚われているんだ。本音を言えばトラウマになっている」


「そのせいで」今しばらく立ち直れないかも。それでもチームに戻っていいか? 弱さを相手に曝け出す。

「なんでも折半だろ?」

何かあったら支えてやるよ、はにかむ舎兄に一笑して俺は片膝を抱くとそこに額を乗せた。


ぐしゃっと髪を撫ぜてくるヨウは、


「このままじゃダセェもんな。俺もお前も」


と小さく笑う。

ほんとにな、ダサい。ダサいよな。このままじゃ。
 

嗚呼、お前ってほんっと真っ直ぐな不良だ。

人の事情なんてお構いなし。俺が自力で立ち上がろうとする前に、ずかずかと一線飛び越えて人の領域に不法侵入。

早く来いよと急かして無理やり立ち上がらせようとするんだ。

弱さを曝け出しててもいい。
支えてやるから、そう付け加えて手を差し伸べてくる。


お前のそういう強引なところ嫌いじゃない。嫌いじゃないよ。