「んだと?」唸るヨウに、「二度と」チームに戻せないほどの傷を負わせれば、チームは動揺し秩序は乱れる。だから狙った。


元々あの二人は不良とは無縁の奴等。
外貌ですぐ分かる。

だから戻れないよう壊そうとした。

山田の一件では失敗に終わったが、田山の一件はどうだろうな。


もう駄目かもしれない。


チームから消える可能性もある。


最後の抵抗と言わんばかりにせせら笑う臼井に、ヨウは目を眇めて拳を再び振り下ろした。


目を瞑る相手の真横に拳を入れたヨウは舐めんなと苦言する。



「ケイはテメェ等ほど弱い人間じゃねえよ! 舐めんな!」

 

胸糞悪いと腰を上げ、ヨウは臼井から離れる。


「あーあ。荒川を怒らせた」


またあいつにフルボッコにされても文句は言えねぇぜ。

不敵に笑うヤマトは臼井を一瞥し、「プレインボーイより弱いな。貴様」相手を軽視する。


「テメェを仲間として狙おうとは思わねぇな。プレインボーイの方がよっぽど使えるぜ。能力的にも根性的にも。あいつは俺のお気に入りだしな。
にしても、話を聞く限り、里見上総率いるチームってのは食えねぇな。なにせどんな不良でも利用しちまうんだから」


どういう意味だと訝しげな眼を飛ばす臼井にヤマトは何も知らない方が幸せだと冷笑した。


自分の憶測が正しければ、きっと里見上総率いるチームは『B.B.B』を手駒として利用としたのだろう。


聡い向こうのチームは分かっていた筈だ。

人三倍仲間意識の高い荒川庸一に一番ブチキレる手で発破を掛ければどうなるか。


答えは簡単。

『B.B.B』は破滅の道を歩むのだ。

幾多に渡って喧嘩を重ねてきた荒川チームと、出来上がったばかりの新手チームが衝突すればどうなるか。


些少でも荒川チームと喧嘩を嗜んだ不良ならば分かることだろう。


不本意ではあるがこれでも付き合いは長い。

そのため荒川庸一がどう行動を起こすのか容易に予想できる。

卑怯に手を染めて仲間を傷付けると必ず荒川庸一は激情する。形振り構わず、無茶してでもそのチームを潰そうとするのだ。


それこそ身を滅ぼす勢いで。