どうあってもこの二人は犬猿の仲から脱することはできないらしい。
 

青い火花を散らす二人に、「ったく男ってのは」唯一女手で喧嘩に参戦していた響子は憮然と吐息をつく。

このままでは埒が明かないため、相手方のリーダーになんの情報を共有して欲しいのだと尋ねた。

まさか向こうも既に“不良狩り”のことを知っているのだろうか?

彼女の問い掛けにヤマトははじめて聞くワードだと眉根を寄せる。


どうやら“不良狩り”について探っているわけではないらしい。
 

しかしヤマトは言うのだ。ケンの事件とケイの事件が類似している、と。

「テメェ等の事件の詳細は知らないが」

携帯を利用している点と迷惑メールで人を惑わせる手口は、自分達を挑発してきた犯人の手口にそっくりだ。

関連性のある事件ではないかと思い、野暮ついでに参戦したのだと述べた。

ケンが頼んできたというのもある。


それに相手が気取ったアメリカ風情野郎だってのも把握している。

ヤマトはブレザーのポケットから硬貨を取り出し、

「ケンの軟禁されていた倉庫に落ちていた」

親指で弾いてヨウに投げ渡す。
片手でキャッチしたヨウは硬貨の表裏を確かめた。


「25セント硬貨、か。ケイのポケットに入ってたのと同じだ。てことは、サトミカズサとマミヤが山田の事件に噛んでいるってことか」
 
「サトミカズサとマミヤ?」

「ケイが残したメッセージだ。多分こいつ等が主犯なんだと思う。不良狩りってのをやっているみてぇなんだが。ついでに俺はそれに狙われているらしいんだが」


「ほぉ」興味深い話だ、ヤマトは意味深に相槌を打った。

詳細を話すよう促されるのだが、生憎此方も有力な情報は持っていない。

けれども『B.B.B』がこいつ等と繋がっていたことは確か。

これはトップに聞いてみるのが一番だろう。ヨウは向こうで伸びているトップ達に眼を飛ばした。

失神しているトップ達に冷ややかな気持ちを抱く。

何発か拳を入れた、それだけで伸びてしまうなんて。
 

不甲斐ない奴等だと呆れるヨウを余所に、ヤマトはトップの一人・臼井に歩み爪先で小突いて起きるよう命令する。

微かに意識があるのか、臼井が目を覚ました。


しゃがんで「よっ」声を掛けるヤマトに、引き攣り顔を作る臼井。


シニカルに笑って、「ちっと聞きてぇんだが」話題を切り出す。