「傷付くだけのチームなら、おれはあなた方に容赦はしません。絶対に」


それでは失礼します。ケンは会釈して倉庫の外に足を向けた。

一足先にたむろ場に戻るらしく、「あ。ちょっと」ホシが彼の後を追っている。


一人で街を歩くことがまだ怖いくせに何をカッコつけているのだと悪態をつかれていた。


が、ケンの耳には届いていないのか早足で外に向かう。


小さくなる相手の背を見つめ言ってくれる奴だとヨウは苦笑する。

さすがは調子ノリとコンビを組んでいた調子ノリ、カッコつけるところも似ているらしい。


「あ。そうだ」

ヨウは指を鳴らして閃いたと豆電球を頭上に浮かべる。


「山田を俺のチームに引きずり込めばいいんだ。そしたらごたごたせずに済む。それにあいつのピッキングといい、手先の器用さといい、絶対チームに役立つ!
うっし、ちょっと山田を勧誘ッ、イッデ! ヤマト何しやがる!」


飛んできた拳を頭部に受けたヨウは犯人を睨む。

鼻を鳴らすヤマトは腕を組んで、ケッと吐き捨てた。
 

「人のチームメートに手ぇ出そうとしてるんじゃねえよ阿呆。貴様はとっととプレインボーイを手放せ。そうすれば万事丸くおさまる」

「はあ?! 意味わかんねぇよ! どんだけケイに目ぇつけてやがるんだ!」

「貴様からセフレを奪ったんだ。次は舎弟を奪いてぇって気持ちになるだろうが」


ヨウ、ムカッのブッチンである。

人の失恋をおちょくり、更に次も奪います宣言をされてはヨウも黙っちゃいない。

「表に出ろヤマト!」

今すぐ決着をつけてやるとヨウが唸る。

「オモレェ」

いいぜ、やってやる。嘲笑するヤマトは勝ったら手放せよ、なんてほざいてきた。

そのため、じゃあこっちが勝ったら山田を渡せよ、となんだかとんでもない展開になってきたため各々副リーダーが仲裁に入る。


だが、どーしても一泡吹かせたいヨウはヤマトに対し、


「この犬ぶっころしゅん。いーぬぶっころしゅん」


禁断の呪文を唱えた。大切なことなので二度唱えた。

そのためヤマト、ピキッのブッツンである。

見逃してやろうと思ったがやっぱりやめた。


青筋を立てるヤマトに、「犬と結婚しやがれ!」中指を立てて舌を出す。

「貴様表に出ろ!」

今すぐ決着をつけるとヤマトが喝破した。

「やってやらぁ!」

反論するヨウは勝ったら山田を渡せよ、と条件を突きつけた。

だったらそっちはプレインボーイをエンドレスエンドレス。先ほどと同じ展開になったため、また副リーダーが仲裁に入ることになった。