「ハジメ。弥生をいつか抱くのか?」
 

俺の問い掛けにハジメはさあね、と捻くれらしい笑みで誤魔化した。

「何せ僕は常識あるヘタレだからね」

何処吹く風で物申すキャツは、お盛りな年頃ではあるけど、手を出すかどうかは別問題じゃないかと肩を竦める。

ご尤もだと俺は思った。

ハジメは更に話を続ける。


「それでも手を出したくなる気持ちもある。
ぶっちゃけ弥生も僕も、お互いにカレカノは初めてじゃないんだ。

僕もそうだし、弥生にも過去付き合っていた人間がいる。

それを払拭したくって手を出したくなる自分がいるんだよね。
過去、彼女に彼氏が何をしたか想像したら嫉妬も嫉妬さ。

そして思うんだよ。
過去以上に僕が最高の彼氏になってやろうってね。ケイはそういう気持ち、ないのかい?」
 

俺とココロはお互いに初カレカノだからそういう気持ちはない。


だけど俺自身、彼女に関することで嫉妬することは多々。


過去、俺は相棒のヨウに絶大な嫉妬心を抱いたし、今も五反田という男に敵対心を向けている。

同校生の五反田に嫉妬している。

同じクラスメートのシズにも若干嫉妬するけど、でもあいつにその気はない。


俺はそれをよく知っている。
一方の五反田は。


―――…めんどくさい。ほんっと、めんどくさいや。駆け引きってヤツも、それに乗せられそうになっている負けず嫌いな自分も。なにもかも。