「あ、クリーム食ってないじゃん」


ちゃんと食べないと、俺の指摘に一回じゃそこまで口に入らないとココロは咀嚼しながら訴える。

ココロは一口が小さいんだよ。

もっとがばーっと食わなきゃ。


「ほらもっかい」


今度はクリームのところまで食えよ、俺の言葉に頑張るとココロはドーナツに齧り付く。

よーしよし。

今度はクリームまで食べたな。


んじゃ、今度は俺が…と、此処で俺とココロは気付くわけだ。

唖然と俺達のやり取りを見つめているカップル達に。


え…、なに、なんか不味いことしているか? 俺等。
 

「ちょ、ケイ、ココロ。何しているんだい?」


ハジメの質問に俺達はアイコンタクトを取ると、「何って」「半分っこですけど」見て分からないのかと首を傾げる。


「いやさ。ドーナツって沢山種類あるじゃん? 全部食うのは無理だし…、ココロと半分すれば沢山の味が楽しめるって思って。な?」

「よくしますよね。半分っこ」


なんてことのないやり取りだと言ってみる。

だがしかし、俺達の返答にハジメと弥生は口を揃えて見せ付けられたと遠目を作った。


ギョッと驚く俺達はそんなことないと慌てふためく。

ただ味を楽しみたいから半分ずっこにしている。

それだけじゃん!

なのに、それを見せ付けられたと言われるなんて思いもしなかったんだけど!

俺達の反論に、無自覚って怖いと某カップルは肩を竦めた。

「ラブラブだよね。弥生、僕はもう甘いものいらないんだけど」

「ほんっと。ラブラブだよ。ケイもココロも。
ダブルデートでケイ達に刺激を与えようと思っていたのに、まさか刺激を与えられるなんてね」

途端に俺とココロは頬を紅潮させるわけだ。
そんなに恥ずかしいこと…、していたのか、俺達。