そりゃお前と似たり寄ったりな悩みを持っているからだよ。

苦笑を零して、俺は健太に言ってやる。

チームに相談できないなら、まず俺に相談すればいい。


今日みたいな同窓会を契機にしなくたって、メールや電話のひとつでも寄越せば俺は飛んでくるさ。


「しょうがないから一緒に悩んでやるよ。チームがお前を見捨てても、俺はお前を見捨てない。何かあれば絶対に助けに行く。約束する」


かつてぶつかり合った親友とも呼ぶべき相手に告げると、「ばっか!」おれは涙もろいんだぞバカヤロウと悪態をつかれる。


知ってるって、俺も涙もろいもん。そういうところは似たもの同士だよ。田山田はさ。


「制服に鼻水はつけないでくれよ」


ポケットティッシュは恵んでやりたいけど、あいにく両手がふさがっている状態。

だから自分でどうにかしてくれと一笑。

頑張ると答える健太は、


「ストーキングされているなら」


可愛い女の子がいいな、と冗談を口にした。

可愛い女の子がこんなえげつないことするかよ、俺も冗談を返してチャリを飛ばす。
 

その日、久しぶりに会った健太ともっと喋りたい気持ちがあったけれど、俺は早々と健太を家に送って帰宅した。

騒動のせいでシズの土産のことをすっかり忘れていたから(めっちゃシズに落胆された。それはそれは世界の終わりを見たような顔をされた!)、二度も外出する羽目になったのは言うまでもない。

余談として付け加えておくことにする。
 

健太のストーキング問題が早く解決すればいい。

願い思う俺の心配が見事に霧散するなんて、この時、知る由もなかった。