本当に久しぶりだ、健太と会うのは。

進級してからまだ一度もお互いに会っていなかったんじゃなかったか?

メールのやり取りはしていたけど直接会うのはマジで久しい。


荒川チームの宿敵とも言える日賀野チームに属している健太とは一年の時、絶交宣言だの、喧嘩だの、ガチの殴り合いだの、本気も本気でぶつかった仲だ。

あの頃を思い出すとこうやって一緒に同窓会に赴けるなんて夢のよう。


でもあの日々があったから、俺は中学時代以上に健太と仲良くなったと思っている。

なんたって拳で語り合った仲なんだからな!

ジミニャーノのくせに、拳だぜ拳!


随分とカッコつけたカッケー友情だと思わないか?


きっと健太も同じ気持ちなんだと思う。

ダークブラウンに染めた髪を風に靡かせ、あどけなく笑う健太は彼女とは上手くいってるのか? と早速悪ノリをかまして肘で胸を小突いてきた。

リア充は爆発しなきゃなんねぇんだぞ、と物申す健太に、お友達が爆発していいのかよと俺は健太にノリを返した。


んでもってまた笑い合う。

やっぱ健太は俺の大事な友達だ。こうして会話するだけでめっちゃ楽しいもん。


「聞いてるぞ、圭太。先日、まーた喧嘩したそうじゃないか。真杉だっけ? 喧嘩したの。その前は楠本だって? お前等も喧嘩っ早いねぇ」

 
先日の情報をもう入手している健太は怖いな。

多分、情報通の魚住伝いから入手したんだろう。

「まあな」

各々あんま味のいい喧嘩じゃなかったけどさ、俺は吐息をつき、後でゆっくり聞かせてやると肩を竦める。

「お前は最近どうだ?」

チームについて聞くと、健太は意味深に溜息をついて俺と同じ返答をしてきた。

なんか味の悪い日常を送っているみたいだな。
後で聞いてやろう。
 

「それにしても俺達、他の連中と絡まないよな」


公園にクラスメートが集っているってのに、俺、健太としか基本絡んでいない。なんのための同窓会なんだか。


「圭太。絡んでくるか? おれはパスしとくぞ。なんか気乗りしない」


と、健太は気だるくのたまう。

うーん、ぶっちゃけ俺も同じ気持ちだ。

まあ皆と絡みたくないわけじゃないけど、微妙に距離感を感じる。居心地が悪いっつーかなんっつーか。

きっと俺達が居心地悪いって思っているように、周囲も「あいつ等変わったんじゃね?」って思ったのかも。

挨拶はするけど、あんまり話し掛けられない。

とはいえ、中学時代は全然目立つ人間じゃなかったから、特定の奴としか接点ないんだけどさ。