階段を上りきったモト達は舎弟組と廊下を駆ける。

しかし途中、足を止めてしまった。


「なんだよこれ」

絶句するモトは、向こうに見える人間達の屍(語弊)に目を瞠るしかない。

「これは酷いな」

川瀬も向こうで屍喪心している人間に言葉を失い掛ける。


三階フロアの廊下は終わった戦場のように、しんと静まり返っていた。


並行して喪心している不良達、多分を此処をたむろ場にしていた人間だろう。


大きな喧嘩でもあったのだろうか?


「まさか」


此処に誘い込まれたオレ達は…、言葉を紡ごうとしたモトは聞こえてきた足音に過剰反応。


咄嗟に総務課だったらしい一室の扉を開けた(扉に総務課というプレートが貼られている)。


全員が中に入ったことを確認して内鍵を掛ける。


複数の足音を耳にしつつ、モトは扉に背を預けて空笑いを零した。
 


「やっべぇ。濡れ衣の罠に嵌められたみたいだぞ、オレ等」