当たり前の光景だが、キヨタには一々信頼関係が芽生えてのことだろうな、とフカヨミ。
 
そして溜息なのだ。乙だ自分、キヨタは自分のヘコみ具合に自己嫌悪。


次第次第に腹が立ってきて、


「俺っちウッザー!」


25セント硬貨を握り締めて絶叫。

よって倉庫内にいた仲間達が何事かと注目してきたが、キヨタは気にすることなく腰を上げて外に飛び出した。

中でジッとしていてはウッジウッジと落ち込むだけ。

体を動かさなければ。大体割に合わないのだ、頭を使うなんて。


「そこら辺歩いてこようかな。道を憶えるには、あっちこっち歩くべきだってケイさんも言っていたし」

 
うん、そうしよう。

左右の肩を交互に回して予定を立てていると、

「どっか行くのか?」

だったらオレも行く、後を追い駆けて来たモトが声を掛けてきた。


散歩するだけだぞ、告げてもゲームが捗らないのだとモトは含みある笑みを浮かべる。

自分に付き合ってくれるのだと悟ったキヨタは、「じゃあ来いよ」カモンと手招き。


ヘイヘイ。
肩を竦めるモトが一歩足を出した時、


「丁度良かった」


第三者の声。


振り返れば、満面の笑みを浮かべているお局(つぼね)が立っていた。

なにやらヤーな笑みを浮かべていらっしゃる響子に、後輩二人は表情を引き攣らせる。

用でもあるのか、そう尋ねると、自分の背後に立っていた妹分を親指で指してニッコリ。


「ココロがな。買出しに行くんだよ。今日はカラッと空が晴れているし、気温もそれなりに暖かい。ちょっち暑いくらいだ。
だから、うち等のために飲み物を買ってこようと思ったらしい。

出来た娘だと思わねぇか?

いやぁ、さすがはうちの妹分。だけど人数分はやっぱ重いわけで?」


丁度あんた等が外に出るみたいだし、妹分の手伝いをしてやってくれね?

てか、するよな?


妹分がチームに世話を焼こうとしているんだ。


野郎共は女の手伝いをして当然だと思わないか? だよな?


もしも断ったら、うち等と同じ女としてみていいよな?

ナニを引き千切っても大丈夫だよな。