ますます首を傾げるキヨタに、「話はお仕舞いだ」早く文具屋に行こうと前を歩く。

物言いたげな表情を作るキヨタだったけど、

「待って下さいよ」

駆け足で俺の後を追って来た。そんなキヨタに俺は道を教える。


あそこが俺の通っていた中学の近道で、そっちが団地に繋がる道、向こうが交差点に出る道だと。


一生懸命に覚えようとするキヨタに笑って、俺は弟分と共に文具屋へ。


買うものを買った後は、行きとは違う道でたむろ場に戻った。
 

あ、そういやキヨタの奴、結局25セント硬貨を捨てられず、記念に貰っておこうと生徒手帳に仕舞っていたっけ。


「これ見てくれよ」


モトに25セント硬貨を見せて、出来事を話していた。

俺はといえば文具屋で買った半紙を片手に、ちょっち仲間と駄弁った後、出展品のために早々と帰宅することを決める。


引き受けたからには、やることはちゃーんとしないとな。
 

「シズ」俺は板チョコを齧っている副リーダーに声を掛けて、帰る旨を伝えた。

まだシズはたむろ場にいてもいいんだけど、俺がそう言ってもシズは「自分も…帰る」とそそくさ板チョコを平らげて腰を上げてくる。


帰るって言葉に嬉しそうなのは、俺の気のせいじゃないよな。きっと。
 

「いいよなぁ」俺もケイの家に帰りたい、羨ましいとぼやくヨウに笑い、こっちにやって来るシズに俺も一笑。


何気ない日常が平和だと思えた。


できることなら、これからも喧嘩じゃなく、平々凡々に不良達と過ごせればいい。


切に願う、俺がいた。