「悪いな、シケた話をして。ケイにはいっつも助けられてるな」

「じゃあ俺、お礼はジュースがいいんですけど」
 

「ははっ。ちゃくい」


そこは無償の友情じゃないのかよ、笑声を漏らす蓮さんは五百円玉を取り出して自販機に投入。

んで、迷うことなくボタンを押して飲み物を奢ってくれた。

ただし。


「蓮さん…、俺、野菜ジュースはそんなになんですけど」


手渡されたペットボトルに片眉をつり上げる俺。蓮さんは大笑いしながらウィンクをした。
 
 
「ジュースはジュースだろ? こういうの好きそうに見えたんだけど。醸し出す雰囲気がそう俺に教えてくれた」

「意味不明ですよ! なんですか、地味の定義に健康オタクって観念でも入ってるんですかね! それ、偏見ですよ!」

 
ギャンギャン文句を言う俺に笑って、戻ろうぜと蓮さんが歩き出す。

脹れ面を作る俺は、

「言い訳は蓮さんが考えて下さいよ!」

向こうの弁解の一切を蓮さんに任せた。
それくらいの意地悪はしたっていいだろ、なあ?
 
 
 

自販機からたむろ場まで、目と鼻の先。
 
俺達は肩を並べ、早足で帰路を歩く。


「なんて言い訳しよう」一緒に考えてくれよ、蓮さんの申し出を断って、俺は野菜ジュースで喉を潤した。

うぇえ、あんま美味くねぇ。
ミックスジュースと野菜ジュースは苦手なんだよ、俺。豆乳とか論外なんだぜ!


やっぱコーラとかサイダーとか、炭酸系が良かったかも。奢ってもらってなんだけど、全部飲み切れる気がしねぇやい。
 

「ちなみに蓮さん、野菜ジュースはお好きなんですかね?」

「俺? ははっ、超嫌い」
 

それを俺に奢って下さってドーモ!