「そこまで苦しんでるなら、なんでそれを舎兄や仲間に言わないんですか。絶対に言っていないでしょう、その気持ち。一線引いちゃってるでしょう? 駄目です、そんなの。貴方の仲間はそんなに不甲斐ないんですか?」


「ケイ…」


「貴方の気持ちは分かるんですよ。俺だって一線引いちゃう馬鹿な性格してるんで。
ピアスの一件も、居場所と存在意義で馬鹿みたいに悩む俺を見かねた兄貴が行動を起こして、ピアスをあけてくれたんです」


蓮さん、俺達を振り回してくれる舎兄って案外、舎弟のことを見てくれてるんですよ。

きっと浅倉さんも気付いてますよ、蓮さんが思い悩んでること。


いいえ、浅倉さんだけでなく、涼さんや桔平さん、貴方の仲間は気付いていると思います。

そしてすっごく心配してると思います。


……そりゃ、蓮さんが起こした行動が正誤として問われた時、正しい答えなんて出ないかもしれない。

片面からみたら間違っていたかもしれないし、片面からみたら正しかったかもしれない。誰にも正しい解答なんて導き出せないかもしれません。


だけど!


重石のように責を感じているその気持ちを共有することはできるんですよ。

仲間に迷惑掛けたらいいじゃないですか、そっちの方が浅倉さん達も気が楽ですよ。


俺の予想じゃまずこう言われますね。


蓮が裏切り者?
おいおい、なあに粋がってカッコイイキャラを作ってるんだ! …って。
 

貴方の仲間は裏切りの「う」も見てくれないと思います。笑い飛ばすに決まってますよ。
 
 
「ウジウジ悩んでもしょーがないです。
自分が許せないなら、自分が自分を許せるようになるまで行動すればいいと思います。行動したモン勝ちですよ蓮さん。って、これ、二度目ですよ。貴方に伝えるの」
 

しかも受け売りなんですよね、この言葉。

「自分の言葉ならカッコ良かったですよね」俺のおどけ口調に、「そうだな」他人の言葉をそのまま使っちまってるもんな、蓮さんはやっと綻んでくれた。