「五反田さんって女子の皆さんによくそう言ってますよね。そういうの、好きな人に言わないと…、本気にしてもらえないと思います」
ココロはちょっと強気に発言し、「それにケイさんは不良じゃなくて」私のヒーローなんです、花咲く笑顔でノロケてくれた。
これには五反田呆然、俺赤面、ココロは照れ照れ。
この三つ巴図をなんと称せばいいのやら、とにかく三者三様の反応をするしかない。
ノロケを口にしてくれたココロは、ちょいと気恥ずかしくなったのか行きましょうっと俺に声を掛けて来る。
ぎこちなく返事をする俺は、ココロをチャリの後ろに乗せて出発進行。
その際、ココロは五反田に「また明日」と手を振っていた。
五反田がどういう反応をしていたのかは知らないけど、俺はノロケのせいで始終赤面しっ放しだった。
くそう、この勝負、漁夫の利でココロの完全勝利だよ畜生。
「―――…ケイさん、ピアスあけたんですね。制服着崩してましたし、正門で見掛た時、雰囲気が違うなって思ったんですよ。
……でもずるいです。同じ地味ちゃんとして嫉妬します。自分だけ、カッコよくなろうとしちゃって。って、どうしたんです? さっきからダンマリですけど」
どこか具合でも悪いんですか?
顔を覗き込んでくる彼女に、「あ。危ないから!」運転中だと俺は注意を促す。
むくれる彼女は上体を起こして、しっかりと俺の肩を握りなおした。
チャリの後ろでブーブー文句垂れている彼女だけど、嗚呼、察して下さいココロさん、俺は今、羞恥で死にそうなんです。
貴方のノロケ発言で死にそうなんです。
まさかクラスメート相手にあんなことを言ってくれると思わなかったんだよ。
五反田って野郎がココロと同じ風紀委員ってのが癪だけどさ、その風紀委員にズバッとノロケてくれるなんて、彼氏としては最高だよ、本当にもう。
「あのさココロ」
やっと口を開くことに成功した俺は、赤に変わった信号前でブレーキを掛けて、おずおずと吐露。