内面ではいっら~としながらも表向きじゃ、「こんにちは」社交辞令として爽やかに、爽やかに、俺なりに爽やかに挨拶をしてやった。
ははっ、地味くんなんで爽やかオーラ、ちっとも出せていないかもしれなせんが、これでも俺なりの大人の振る舞いをした方ですよ、はい。
小憎たらしいことに「こんちは」爽やかに挨拶を返してくる五反田は(イケメンのヨユーって奴ですか!)、若松に彼氏がいたのかっとニコニコ笑顔で彼女を見やる。
「若松に彼氏がいたのか。でも可愛いからいてもおかしくはないと思ってたよ」
「五反田さん、からかうのお上手ですね」
全然ココロはお相手にしてない様子。
まあ、口先だけと思っているんだろう。
でも五反田、次の瞬間爆弾発言をしてきた。
「残念だなー。若松に彼氏がいるなんて。フリーなら狙おうって思ってたのに。
若松ってちょこちょこしてるからさ、なんか放っておけないって思ってたんだけど。
さっきも自転車を並べ直す時、ドジ踏んで転びそうになっただろ? 俺が助けなかったら若松、怪我してたし? な?」
!!!
絶句する俺にニタリ顔を作る五反田の腹黒さを垣間見た気がする。
おいお前、爽やかオーラに腹黒が交じってるとはどーゆーことだい。
女子には見せない、野郎にしか見せる、悪魔な一面を俺に見せ付けやがってっ、ナニ、お前本当にココロ狙ってるカンジ? それともからかってるだけ?
どっちにしろ、お前は今この瞬間を持って俺のブラックリストに載ったんだけど。
「てか若松が不良とお付き合いなんて似合わないな」
ニッコニコとあくまで爽やかオーラを出す五反田に、
「あははっ、すみません不良で」
でもなんちゃって不良なんですけどね俺、こっちもあくまで爽やかに言葉を返してやった。
かち合う視線には青い火花が飛んだり飛ばなかったり。
嗚呼ムカつく、お前、超ムカつくんだけど。