ココロは迎えに来てくれたことに喜び、次いで俺の身形を見るなり、「えっ?」ケイさんが制服着崩してるっ…、しかもピアスっ、オロオロと挙動不審になって赤面してきた。
 

あ、そういや制服、このままで来ちまったな。

それにピアスは無理やりあけられたんだけど…、そう彼女に伝えると、ココロは小さく唸って唇を尖らせる。

で、モゴモゴなんか言ってくれるんだけど声が小さい。

「ワンモア」俺は耳を近付けてもう一度言ってくれるように頼む。
そしたらココロ、「反則です」と小声も小声で申し上げてくれた。


遠回し褒めてくれてるんだって気付いたもんだから、俺も頬を紅潮させちまう。

その言葉こそ反則なんだけどっ、ああもう嫉妬してた俺が馬鹿みてぇ!
 

素直に受け止められない俺は、誤魔化すように「ほら貸して」彼女から通学鞄を取ってカゴに入れる。

入れ替わりに「ほい」、レモンティーを手渡し、俺の奢りだと一笑した。
 

「昨日、来れなかったからさ、お詫びのしるし」


呆けていた彼女は、見る見る笑顔になった。

はにかんで、

「ケイさんってキザなことしますね」

茶化してくる。

煩いな、カッコつけたがるのは男の性分だって。


完全恋人オーラを醸し出していると、「若松って彼氏いたの?」第三者の素っ頓狂な声。

人の彼女を馴れ馴れしく触っていた、キャツである。
 

超爽やかオーラを発してくる野郎の名前は五反田 輝(ごたんだ ひかる)。


ココロのクラスメートで彼女と同じ風紀委員を担当している日向男子らしく、クラスの人気者だとか。

サッカー部に所属してるとか典型的な日向男子ですね、ええもう羨ましいくらいカッコイイ面しやがってっ…、見るからにスポーツ系男子ってカンジがしますよ。