「響子さん、ココロは?」

「ああ。係りの仕事でちょい学校に残らないといけないんだと。そうだケイ、ココロを迎えに行ってやれよ。昨日、アンタが来なかったからすっげぇ落ち込んでたんだぞアイツ」


ゲッ、マジで? そりゃ悪いことしちゃったな。

俺とココロは他校同士の恋愛だから、会う時間も限られている。

ココロ、毎日俺に会うの楽しみにしてくれてるもんな。
それは俺も同じなんだけどさ。


この前、俺を迎えに来てくれたし、今度は俺が彼女を迎えに行く番だな。
 

俺は皆にココロを迎えに行って来ることを伝え、颯爽と愛チャリを飛ばすことにした。

向かうは勿論、ココロの通う高校。
そう距離はない。チャリで15分の場所にその高校はある。

彼女にあったらまず詫びないとな。

んでもって、彼女の我が儘いっぱい聞くことにしよう。

結構俺、舎弟とか喧嘩とかで時間を割かれることが多いから。
もっと彼女を大事にしないとな。


あ、そうだ。


行き途中、俺は自販機でペットボトルのレモンティーを購入する。

レモンティーはココロの大好きな飲み物なんだ。
べつに物で釣るってわけじゃないけど、でも気持ちとして受け取ってもらいたい。


ちょい寄り道をした後、無事にココロの高校に通う正門前に到着。

携帯を取り出して一応メールを打つことにした。
擦れ違ったりしたら切ないしな。

それから10分くらい手持ち無沙汰、メールの返信も来ないから、適当にネットを開き携帯を弄って彼女が来るのを待つ。
 

そうして待っていると、正門向こう、校舎の昇降口付近で人影がひとつ、ふたつ。


必死にぺこぺこ頭を下げているのは待ち望んだ彼女。

もう一人はなんだか妙に爽やかオーラを発している…、見るからにクラスの中心人物であろう日向男子がそこにはいた。

なんで日向男子だと分かるのか、そりゃあ発しているオーラでさ、なんとなーく分かるんだよ。

俺、これでも地味人生貫いて16年、今年で17年目に突入しようとしているんだから?

匂いでこいつと俺は違う類って把握できちまう。
つまりあいつは俺とは違う人種の人間ってことだ。