なぁああんで真面目くん精神が腐れだよっ、おっかしいだろっ、俺、間違った精神は貫いてないと思うんだけど!
腐ってるのは風紀違反をする生徒だと…っ、俺は間違ってねぇええええ!
寧ろ正当を述べてるだろ!
俺の訴えなんてなんのその、だからアンタは駄目なんだとモトは素早く前に回ってジッリジリ追い詰めてくる。
「ケーイー。オレがそれにしろって言ってるんだから、それにしとけよ。分かったか! あんな違和感ありありなダッセェ恰好、オレは認めないし!
ヨウさんの舎弟なんだっ、マシな恰好しろぉおおお!」
ヘーイ、モトボーイ! 着崩しは全然マシな恰好じゃないと思うのですが!
モトの剣幕にすっかり押された俺は、タジタジになりながら避難場に逃げ込む。
「うぇえ?!」
傍観者になっていたキヨタを盾にして、「お前は俺の味方だよな?」ポンッと両肩に手を置きニッコリ。
キョドっているキヨタは前方のモトと、後方の俺を見比べて一呼吸。
一思案した後、モトの瞳を見据え、うんっと頷き首を捻ってくると俺に親指を立てた。
「俺っち、ケイさんは着崩した方がカッケーと思いますっス!」
……、それは俺のために言ってくれているのか?
それとも向こうの剣幕に負けちまったのか?
どっちにしろお前は兄分より親友を取るんだなコノヤロウ。
なんだか愛の重さを痛感した気分でい。
「ほらみろ」キヨタもそう言ってるじゃないか、ビシッと指差してくるモトはこれからはそれでいろよっと地団太を踏んだ。
こっちの方が断然ヨウの舎弟を名乗るに相応しい恰好だと吠えに吠え、闘争心を燃やしやがった。
しかも…、もしもまたあのダッサイ恰好をオレの前でしてみろ、今度はオレが直々に右耳にピアスホール作ってやる! なーんて脅してきやがったよ。
こ、怖ッ…、兄分に対する敬愛っ、マジ怖い恐ろしい凄まじい。もはや俺のためなのかどうかが分からない。
フンッと鼻を鳴らしているモトをブルブルで観察していると、「モトは」純にケイさんのことを想ってるんっすよ、キヨタがこっそり耳打ちしてきた。
いや嘘だろ、あんな脅しを掛けてくるのに。
だけどキヨタは失笑交じりに本当だと零す。