「まさかです…」
「…お前見たところ、弱そうだし“気”もねえし、止めとけ。本当に舞子の娘か?」


反抗しようと口を開いたが声が出なかった。確かに私は母のように明るくもなければ友達も少ない、むしろいない。性格だって意気地無しだし、挙動不審だし。だけど、私だって母よりいいところがあってもいいと思う。だから、私はそれを見つけに、この高校に来たのだ。他人に止めとけなんて言われて断念するなんて、絶対嫌だ。


「貴方に関係ない」
「…ふぅん」


本当に止めるって言わなくて安心したぜ。

切れ長の目をした彼が、そう言いたそうな薄ら笑いを浮かべ、私の頭を乱暴に掻き乱した後、ゆっくり目を開ければもう彼の姿は何処にもなかった。


心臓が大きく鳴り響くのは期待か、それとも恋か。