「おいで。もう入ろう。草で足が濡れたんじゃないのか? 風邪引くぞ」
圭吾さんの方こそ裸足のくせに。
わたしはもう一度月明かりの庭を振り返った。
「本当にみんなどこかへ行ってしまったのね」
「二日もすれば戻って来るよ。君を置いて行ったりしないから安心して」
何だろう?
何かが思い出せそうで思い出せないようなもどかしい気がする。
わたしが近づくと、圭吾さんは立ち上がった。
わたしは圭吾さんを見上げ、そして――
「圭吾さん?」
「ん?」
パズルのピースがピッタリとはまるように、気づいてしまった。
「わたしの心を読んでる?」