「あらステキ! 志鶴ちゃん何色がいいかしら」
「まかせるよ。それと女の子が髪に飾るものも。何をどうつけてるのか僕にはさっぱりだから」
圭吾さんは気がついてたんだ。
わたしが今まで縁日に行かなかったのは、友達がみんな浴衣を着て、髪をアップにしてくるからだって
わたしには浴衣を着せてくれたり髪をセットしてくれる人はいない――言わずに飲み込んだ惨めな泣き言が溶けて消えていく
幸せな気分になって、フワッって気持ちよくなって、圭吾さんの膝にもたれた
「あっ、こら志鶴! こんなところで寝るな」
だって目を開けていられないんだもの
「圭吾さん 大好き」
心の中で言ったつもりだったけど、声に出してたのかな
彩名さんが『よかったじゃない』って言った気がする。
――志鶴の『好き』は兄妹の『好き』だよ
圭吾さんの不機嫌そうな声を夢うつつで聞いた。