目の前でホバーリングしているのは小型犬くらいの大きさの生き物で、コウモリみたいな薄い膜のついた翼を広げている。
爬虫類独特の金色の目、真っ黒な鱗に覆われたゴツゴツした皮膚、ややがに股気味の足には鋭い爪がついている。
キーッ
きしむような声でそいつが鳴いた。
「なんだ、羽トカゲの事?」
わたしは飛んでいるそいつに手をのばした。
喉の奥をキュキュッと鳴らして鳴き声を真似る。
するとそいつはクルクル旋回してから、鷹狩の鷹みたいにわたしの腕にとまった。
「なんて事でしょう……」
伯母さまがささやくように言った。
和子さんは腰を抜かしたように床に座り込み、圭吾さんは無言だ。
「なあに?
ママも飼っていたわよ。
こんなに大きくなくて真っ白いやつ」
沈黙を破って圭吾さんが咳ばらいをした。
「どうやら、君の龍を選んだ方がよさそうだな」