姫華が待っていたのは岡野優哉だった。


悔しい……。


俺は姫華と近所だからと言い訳を並べ、一緒に帰ることに成功した。




チラリチラリと見える、姫華の右手。


その小さな手に繋がれる大きな手。


いつも俺がその手を握っていたのに……。


俺がいつも姫華の右側を歩いていたのに……。


俺は姫華が隣にいながらも一人ぼっちに感じ、何度も小さく溜め息を漏らした。


悲しげに揺れる瞳を隠すように。




姫華の家に着き、岡野と姫華の手が離れた。


岡野が優しく、愛しい人を見る目で姫華の頭に手を置いた。




ズキン…




胸が苦しい…。




やめろ……。




そんな目で姫華を見ないでくれ……。