「え……、ととと虎さん!?」



私が玄関で叫んだ瞬間、リビングから泉さんと逞さんがビールを噴き出した音がした。



「み、奈緒ちゃん。虎って……プ、虎って何ー!?」



虎さんを引き連れてリビングに戻ればゲラゲラ笑っている逞さん。泉さんも微かに肩を震わせている。


そうです。なぜか泉さんの家に姿を現したのは黄色い髪をした虎さんこと、黄龍八代目総長の蓮さんだった。



「何で?何で泉さん!」



相変わらず無表情かつ無言の虎さんはソファーに腰を下ろす。



「俺と大蓮、兄弟」



と言ったのは間違っても泉さんじゃない。逞さんだ。



「嘘……」


「本当だよ。ちなみに逞は黄龍四代目総長だから」



嘘。もっと嘘。ちょう嘘。


あの逞さんが?


料理が上手で何故だか花柄のエプロンがお気に入りでたまに、だだっ子になって、しかもドMの逞さんが!?



「奈緒ちゃん全部口に出てる」



しょぼんとした逞さんを見て私は慌てて両手で口を押さえた。



「で、蓮どういうことだ?」



今まで笑っていた泉さんが低い声を発した。


私は思わず膝に置かれた泉さんの手に自分の手を重ねた。



「泉さん……」


「大丈夫だよ」



私の手を逆にギュッと握り返し微笑んでくれた彼に、胸を撫で下ろした。