大きな本を開くと、おばあちゃんとおじいちゃんが写った写真が出てきた。

おばあちゃんはさびしそうな目だった。

ぼくはそんなおばあちゃんを初めて見たから、どうすればいいのか
わからなかった。

だから、

いっぱいいっぱい、おばあちゃんに寄り添った。
いっぱいいっぱい、キスしてあげた。
いっぱいいっぱい、ほっぺでスリスリした。

「わんちゃん、ありがとう」

しわしわの笑顔がお礼と一緒にかえってきた。

「おじいちゃんはね、この木が好きだったねぇ」

写真には、おばあちゃんとおじいちゃんの後ろに大きな木が写っていた。

「わんちゃんにはわからないかもしれないけどね、
 おじいちゃん、この木の葉っぱが好きでねぇ」

本の次のページには、ボロボロになってる大きな葉っぱが貼ってあった。

「もう、形もわからなくなってしまったねぇ」

懐かしそうな目。
そして、どこかさびしそうな目。
でも、ぼくを見るおばあちゃんは、本当に優しい目。

ぼくをなでなでして、おばあちゃんは本を持っていった。

『あの木なら知ってる』

ぼくは思った。