ぼくがご飯を食べ終わると、おばあちゃんは、またなでなでしてくれる。

でも、ぼくは気付いた。

『おばあちゃんのご飯は?』

ぼくは自分が食べてしまったと思った。
だから、すごく悪いことをしてしまったと思った。

『おばあちゃん、ごめんなさい』

ぼくは、お皿をおばあちゃんのそばによせて、おばあちゃんの手を
ほっぺでスリスリした。

「あらあら、この子は甘えん坊さんね」

そう言って、ぼくをひざの上に乗せてくれた。

「ご飯を気にしてるのかい?わんちゃんはいい子だね」

にっこりしているおばあちゃんは、本当に嬉しそうだった。
ぼくはもう、何もできなかった。
だから、おばあちゃんがいっぱい笑えるようにしてあげようと思った。

いつもおばあちゃんに寄り添ってあげた。

いつもおばあちゃんはしわしわの笑顔をぼくに見せてくれた。

そうして、
『もう何日くらい、ここにいるんだろう』
なんて考えてたある日、おばあちゃんが大きな本を持ってきた。

ぼくをおばあちゃんは、いつものようにひざの上にのせて言った。

「わんちゃんには、わからないかもしれないねぇ」