兄貴が留学するとき、美嘉は兄貴に告白した。
兄貴は遠回しに断った。
美嘉は気づいてない、と見せかけて気づいていた。
兄貴に気づかれないように、家に帰って泣いていた。
俺は知っているんだ。
その時、ちょうど美嘉を家で待っていて、美嘉の部屋の前まで来ていたんだから。
すすり泣く声が…聞こえたんだ。
その時思ったんだ。
「俺が美嘉を守らなきゃ」って。
でも…告白は出来なかった。
美嘉は強がっている。
兄貴がいなくなってからも、美嘉は兄貴の姿を探していた。
俺が久々に家に帰っても、美嘉は俺の家に来ては少し暗い顔をして帰って行った。
俺はそんな美嘉を、励ますことも慰めることも出来なかった。
そんな美嘉が嬉しく笑った時があった。
兄貴が一時帰国したときだった。
最初は戸惑っていたみたいだったけど、その後少し笑顔になった。
やっぱり美嘉は、兄貴がまだ好きみたいだ。
俺だってまだ美嘉が好きだし、兄貴には…彼女がいる。