兄貴は俺より8歳年上。
息子がいうのもなんだが、美人なお袋とイケメンな親父から生まれたため、その顔を利用して、よく女を連れてきた。
「またあんた新しい彼女??いい加減、1人の女性を好きになったら??」
それがお袋の口癖になってた。
それと同時に、
「別にいいだろ??誰と付き合おうが。お袋には関係ねぇ話だ」
これが兄貴の口癖だった。
それからしばらく両親と兄貴の間に、黒い空気が漂っていた。
それでも唯一、俺と兄貴は仲が良く、いろんな話をした。
幼稚園の話から、好きな人の話まで。
とにかく様々だった。
もちろん、美嘉のことも。
兄貴はこの頃から、俺が美嘉を好きなのを知っていた。
それで兄貴は、
「俺が出来ることは協力してやる」
そう言ってくれた。
それからというもの、『美嘉に俺を惚れさせる大作戦』を決行したが、なんせ天然×鈍感な美嘉はまったく気づかなかった。
こうして俺は、見事に心をズタズタにされることとなる。