素早く周囲を確認する。 子供が川で溺れていたというのに、 気付いた物は誰もいないようだった。 『――…』 浅い息を何度もはき出し、 そして ゆっくりと 子供に指先で触れた。 とたんに、 その小さな唇からもれる吐息。 冷え切って青白くなっていた頬が 少しずつ薔薇色に染まる。 それに比例するように あたしの息は荒くなり、 頭は朦朧として 世界がぐるぐる回り出した。