振り払いたい。

いいかな、振り払って。

長髪気味の、三十前後な感じの男。

彼が、捕まえたあたしの手を、両手に捕らえなおして、触ってる。

いやああ。

気持ち悪さが、全身を駆け抜ける。


「あの・・・」


『やめてくれ』

その、穏便なバージョンの言い方が、頭に出てこなくて、口ごもる。

酔いでねっとりしている視線が、あたしの顔に移る。