「相川くん?…どうしたの?」

「いや、藤崎さんから近づいてきてくれたから嬉しくって。」


目の前で少し照れながら武者気に笑う相川くんは本当に嬉しそうだった。

(…可愛い。)


そう思ったものの、口には出さない。


ちゃんと学習能力あるからね…。

またあんなのされたら心臓壊れちゃうもん。

首元にうっすら残っている2つの赤いシルシを思い出す。

後で和樹に聞いた話だけど、

中学生の時、文化祭で女装させられた相川くんは

もともと中性的な顔立ちだったせいか、すごく可愛かったらしく、

しばらくの間、可愛いと言われ続け、女の子のように扱われてトラウマになったらしい。


だから“可愛い"に反応するのか…。