あたし、最近チャットとかはまってるんだ
それで最近ビデオチャット始めたんだけど

一昨日、ランダムで相手選んでみて
繋がったんだけど、暫く待ってみても
相手、無言だったんだよね。


それで、相手の部屋だけ見えてて、
見てたら、あれ、何か見覚えあるなって
そう思ったの。



ちょっと考えたらすぐ解ったんだけど
あたしの部屋とまったく一緒なの!

違うのは、あたしが居るか居ないか位。


で、もしかして私、自分と繋がってる?
何かバグでもあるのかな?って
そう思ったんだけど、
なんにしろ誰もいないのはおかしいよね。

だってそのチャット、
話すにはボタン押さないといけないから、
誰もいないんじゃ繋がる訳無いんだよ。


それでどうせ暇だし、
しばらく繋がったままで様子見てたけど
いつまでたっても、どうもならなくて

もう切ろうかなーって、ボタン押して
切れる瞬間ね、カメラ目線でこっち見てるあたしが映ってたんだ。


例えあたしがそのまま映っていたとしても
……画面見てたんだから、おかしいよね。

なんだったんだろ?




フーッ

18本目の蝋燭が消えました。




こないだ遊んだ帰り。
夜に、人通りの少ない道を通ったんです。

そうしたら、看板の影から
ひょこって顔だけ出して
こっちを見てる人が居たんですよ。

顔はよく覚えてなくて、
男か女かも解らないんですけど……。


でもとにかく、気味が悪いなって。

だけどそこを通ってしか、
家まで帰れないんですよ。


だから仕方なく、
早く通り過ぎちゃおうって思って
急いで、早足で進んでたんです。


目が合っちゃわないように、
焦点をずらしながら時々確認すると
やっぱりこっちをじっと見てるんですよね

それでようやく隣を通り過ぎる時、
看板も見えたんですけど、
その看板、2枚が背中合わせになってて
隙間に、その人が立ってたんです。





じっくり見なかったけど、
看板の隙間ほんの数センチのはずなんです


びっくりしたけど、
とにかく立ち止まらずに歩き続けました。

そしてようやく、曲がり角を曲がる時に
通って来た所を見たんですけど、
やっぱりその人、こっちを見てました。

曲がりきったら、家まで走りました。

時々後ろを振り返ってみましたが
もうどこにも居なかったので
安心して、帰宅する事が出来ました。



それで次の日の朝、登校する時に
同じ場所を通ってみたんですが、
看板にはもちろん誰も居なくて、
人の挟まれる隙間なんて、
それもやっぱり無かったんです。


ふーっ


19本目の蝋燭が消えました。



これは、私のお兄ちゃんの話です。


お兄ちゃんは去年から1人暮らしをしているんです。

そこはペット禁止のアパートなんですけど
小動物とか、気づかれにくいのを飼ってる人は結構いるらしいんです。

お兄ちゃんもハムスターを飼い始めて
でも最近ちょっと元気が無いなって
病院に連れて行ったんですね。


結局何事も無くて、
それはよかったんですけど
隣の部屋の人に見つかってしまって。

その人は自分もペットを飼ってるから、
お互い秘密にしましょうねって、
そう言ったから、お願いしますって
2人で笑ってたらしいんです。


それまでも、隣からごそごそって、
隣人が出かけるのを見た後に
誰もいないのに物音が聞こえてくる事が
時々あったらしいんですね。

だからきっと何か飼ってるだろうなって
お兄ちゃんもそう思ってたらしいんです。



それである日、
『どうしても今日は
帰れない用事が出来てしまったので
代わりに餌をあげてくれませんか?』って
隣人に頼まれたそうなんです。

お兄ちゃんは快く引き受けました。




渡された餌は、どう見ても、
レトルトのおかゆ。だったんですって。

あのパックに入ったままの。

それを温めてこの器にって渡されました。


……一体、何を飼っているんだろう?

鳴き声は聞こえないし、
きっと小動物ではあると思うんだけど。

お兄ちゃんはそんな事を言ってました。



そして出かける前に隣人はもう一言。

お風呂場のドアに窓がついているから、
その前に置いてやってください。
人見知りするんで中は覗かないでください

……アパートなのに、改造したのか?
大丈夫なのだろうか。

そして声帯を取る手術した犬か猫か?

でもお粥か……そんな事を思ったそうです



そして頼まれていた時間。

借りた鍵を使って室内へと入ると、
バスルームへ続くはずのドアに、
猫が出入りするような感じの
小さな窓と外からの施錠を確認しました。


鎖がドアノブと、壁に繋がれていて、
そこに南京錠が数個、かけられていたそうです。

……一体何を飼っているんだ?

ちょっと気になってしまったお兄ちゃん。




餌置いとくからな。と、
正体不明のペットに声をかけ、
ドアを閉めたふりをして、
こっそりと、覗いていたそうです。


少し待っていると、窓が動きました。


そこから出てきたのは、
人間の、そして恐らく男の腕でした。


その腕はお粥を中へ引き込み、
しばらくすると、再び皿を外に放り出し
それを見たお兄ちゃんは、
そういえば明日の朝も、あれ使うんだ。
じゃあ洗わなきゃな。と、
帰ったふりをしたのを忘れ、
回収しようと、ドアの前に行ったそうです


すると再び窓が動き、
今度そこから見えたのは、
窓を開く手と、男の、顔。


あ、失敗した。



そう思ったお兄ちゃんは
すぐさま自分の部屋へと戻りました。


でもちゃんと、朝ご飯もあげたそうですよ



そんな出来事を話す電話を貰ったのが
お兄ちゃんから来た、最後の連絡なんです

それからもう2か月も連絡が取れなくて。

……お兄ちゃん、どうしてるのかなぁ。




フーッ


20本目の蝋燭が消えました。




21.ぞろ目
22.ししゃごにゅう
23.色情霊
24.かくれんぼ
25.ひとはだ

26.浮気?
27.さいごの言葉
28.逆上がり
29.首だけ彼女
30.たりない




ふとデジタル表示の時計を見ると、
ぞろ目な事ってありますよね。


僕はぞろ目を見る事が多いんです。

小さい頃は、見るたびに
何かが起こるんじゃないかと
ビクビクしていたんですが、

意外とぞろ目って多いし、
記憶に残りやすいからだと気づいてからは
まただーって、ちょっと嬉しくなるだけになったんですけどね。



この間も、一人で家に居る時に
ふとテレビの時計表示が目に入ったんです


それで『またかっ!』って思って、
でもその数字がちょっと不気味だったんで
本当は僕、霊感でもあるんじゃないかって
そんな事を思って一人ほくそ笑んだんですよ。


で、帰ってきた兄に報告すると、
どんな数字だったかって聞かれたんです。


それで答えると、
『お前、寝ぼけてるか、
 ヤバいんじゃねーの?』って
そんな事を言うんですね。


それで自分でも改めて
その数字思い浮かべたら、
確かに、おかしかったんです。


だってその数字、
『666』だったんですから。



フッ


21本目の蝋燭が消されました。



とある火葬場で、まだ生きている人が
故意に火葬にされるという事件がありました。


犯人はそこの職員だったそうですが、

その人の言い分は、

「だって彼、言ったんですよ?
『自分はもう、
 半分死んでるようなものだ』って


四捨五入で死者誤入。

半分死んでるんだから、
死者に入れてしまった、と。


駄洒落ですよね。



ふーっ

22本目の蝋燭が吹き消されました。