そのまま、俺は他の町で育って、
でも数年後、またその幼稚園のある町
……ここなんだけど、戻ってきたんだ。

懐かしいなーって思って
幼稚園を覗きに行ってみた。
丁度、俺があいつと遊んでた位の
夕日が沈みそうな、そんな時間だった。

そしたらさ、紙飛行機が飛んできたんだ。

拾ってみたら、俺の秘伝の折り方と
まったく一緒なんだよ。

まさか、って思って飛んできた方を見たら
滑り台の上に男の子が立ってた。
あの子だったんだ。


でもさ、流石に、無いじゃん?

だから弟か何かかなーって思ったんだ。

でもさ、そいつ言ったんだ。
『遅いよ』って。

笑って言うんだ。

待ちくたびれたって。


だから俺もさ、
ごめんな。遅くなった。

なんかよくわかんないけど、
そう返したんだ。

それで、
一緒に飛ばそう。
競争するんだろう?って言われて、
ああ。じゃあちょっと待ってくれって
飛行機を飛ばし返して、
折り紙は持ってないから
ルーズリーフで作ったんだ。


じゃあ飛ばそうって、
俺も滑り台に上ってさ。

あれ、こんなに小さかったんだなって
自分の成長っぷりを改めて実感したんだ。

で、飛ばした。


2つとも、今まで見た事無いぐらい、
ずーっと遠くまで飛んで行った。

それを目で追ってたんだけど、
ついに、見えなくなっちゃって、
すごいなーって言ったら、
あいつも『すごいね』って言ったんだけど
そいつの居た所見たら、誰もいなくてさ。

で、下から園長先生が怒鳴ってた。

アンタ何してんのって。



理由を話したらさ、
先生も俺の事覚えててくれたし、
あいつの事も知ってたんだ。

あの男の子、先生の子供だった。

俺が入園する1年前に、
事故に合ってたんだけど、幼稚園大好きで
時々、俺みたいにつまんなそうにしてると
話しかけたり一緒に遊んでるんだってさ

それでそいつ、近頃じゃ
折り紙博士って呼ばれてるらしいよ。



それで今でもまだ、
病院と幼稚園に居るらしいんだけど、
幼稚園じゃ俺とは会ってくれないから
先生に頼んで病室教えてもらってさ
会いに行ったんだよ。



そいつ、本当は俺より1つ年上だった。
目ぇ覚めたら、きっとまた遊ぼうぜってさ
毎日、折り紙持って行ってるんだ。
千羽鶴、その内完成予定なんだけど。


でもさ、園児が言ってるらしいんだよ。
そんなの折らなくていいって言ってって。


何のつもりかしらないけどさ、
もう1回くらいは、
遊んでくれてもいいと思うんだよ。


だって、まだ決着ついてないし。
見届けれなかったんだから、無効だ。



だから俺はやっぱり毎日通うよ。
また一緒に紙飛行機飛ばせるまで。


じゃ、蝋燭消すよ。



フッ


2本目が消されました。






私ね、特技があるの。

目が覚める直前にテレビがついてると、
起きた後にやるニュースが浮かんでくるの

気のせいだって?違うよ。
だってニュース速報まで当てれるんだもん
凄いでしょ?

まあ、起き抜け限定なんだけどね?

しかもそれはすぐ後のニュースだったり
お昼頃だったり夜だったり、
数日後のニュースだったりするの。
でもいつかは当たるんだから、いいのよ。
別に誰に頼りにされてる訳でもないしね。


これ、生まれた時から持ってる能力なの。
だって物心ついた時からそうだからさ。

でもね、小さい頃はよく解らなくて、
怖い夢に魘されやすい子って、思われてた


そんなある日、家族旅行に行ったの。
2日目は遊園地に行く予定で、
すごく楽しみにしてたんだけど、
1泊した朝、ニュースが浮かんだの。

それは、ジェットコースターが故障する
そんなニュースだったわ。
死傷者が出たかどうかは解らないけど、
とにかく私は、乗らない事を決めたの。


でもお父さんが、好きなのよね。
絶叫マシン全般。

家族旅行な訳だし、
私が乗れるのにしか乗らなかったんだけど
子供用のジェットコースターあるでしょ?
せめてあれだけでも乗りたいって言うの。

いやいやする私を、
笑いながら座席に座らせたのよ。
係員さんドン引きよ。
他のお客さんも迷惑そうにしてるし。

乗ってた他の子にも伝染して、
みんな泣き出しちゃったの。

じゃあみんな、一旦おりますかってなった
その時だったわ。





突然轟音を立ててレールが崩れ落ちたの!

コースは緩やかだったけど、
高さはあったから、落ちたらきっと
ただじゃ済まない事になってたわね。


……結果的に私は、
何人もの人間の命を救ったって事。


ね、役立つでしょ?



それで、そんな私が今日、
やっぱりニュースを見たんだけど。

その見出しはこう

『生徒ら約100人が行方不明』

……一体、何が起きるのかしらね?


フーッ


3本目の蝋燭が消されました。



これは、私が先週体験した話です。

部室の掃除をしていて、
帰りがいつもよりも遅くなってしまい、
暗い道を、友達とも途中で別れ、
1人きりで、歩いていました。


早く家に着かないかな……。

いつもより少し速度を速めて
家路を急いでいました。

すると、少し前方に、
人が歩いているのを見つけました。

服装からすると、若い女性です。

知らない人でも、誰かが居ると
ちょっと安心できませんか?

私もほっとして、少し足を緩めました。


でも少しして、
その人との距離が狭まっているのに気づきます。

足の遅い人なのかな?
そう思いましたが、それにしても
距離はどんどん、縮まっています。


そして気づきました。

暗くてよく見えないけど、
あの人、後ろ向きに歩いてない?




なんだか、気味が悪いなあ。
そう思っていると、携帯の着信音のような
電子音が、前の方から聞こえてきました。

あの人かな?

思った通り、そうだったらしく
彼女が電話に出る姿を見て、
私はまた驚きました。

彼女は後ろ向きに歩いていたんじゃなく
服をすべて、後ろ向きに着ていたのです。

……髪型は、どうなってるんだろう?

思わず、そんな疑問を浮かべました。

あ、通り過ぎる時に見たんですが、
後ろも前も伸ばしているだけでしたよ。

どうしてあんな事をしているのか、
皆目見当もつきませんが、
趣味は人それぞれ。

話のネタとしていい経験だったと思います


終わります。




ふーっ


4本目の蝋燭に息が吹きかけられました。